~結婚適齢期の女性に起きた悲劇とそれから~
第七話 転勤
「転勤が決まった。地方に行く」
史作からそう聞かされた。
一緒に来いとは言われなかった。
寂しさはあった。でも同時に、これは将来を考えるための機会かもしれないと思った。
私ももう三十歳が近い。
このまま自然に離れる方が、史作のためにも私のためにもいいのかもしれない。
転勤後、連絡は気が向いた時にする程度になった。
そして四か月ほど経った頃、史作が妙なことを言い出した。
「俺はモテるんだ」
問い詰めると、転勤先で彼女ができていた。
そして史作は、彼女ができたから別れると言った。
別れた方がいい。
そんなことは、とっくに分かっていた。
寂しさもほとんどなかった。
それなのに腹が立った。
散々好き勝手をしてきて、最後まで自分の都合だけで終わらせるのか。
「絶対に別れない」
口から出たのは、そんな言葉だった。
愛情ではなかった。
ただの意地だった。
その意地が、また私を史作につなぎ止めることになる。



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