サイレントバツイチ物語 第九話『同棲』

サイレントバツイチ

~結婚適齢期の女性に起きた悲劇とそれから~

スポンサーリンク

第九話 同棲

今考えても、なぜあの時同棲したのかと思う。

情だったのか。寂しさだったのか。

同棲することになり、私は部屋探しを始めた。もともと引っ越しが好きだったこともあり、どこに住もうかと少し浮かれていた。

ところが史作は、私に相談せず部屋を決めてきた。

しかも、私が仕事帰りに一人で歩くには不安を感じる場所だった。

二人で家賃を払うのだから、もう少し選べるはずだと話しても、「もう決めた」と聞かない。

さらに引っ越しの話をして分かった。

史作は故郷へ戻るつもりで、家具も荷物もほとんど処分していた。

なぜ急に同棲を言い出したのか、腑に落ちた。

それでも私は受け入れた。

同棲生活が始まっても、史作は変わらなかった。

モラハラも暴力も続いた。

ただ、私は以前ほど辛く感じなくなっていた。

史作が優しくなったわけではない。

私が慣れてしまったのだ。

独りになる寂しさと、どこか母親のような感情で離れられないまま、一年以上が過ぎた。

そんなある日、史作が言った。

「金はないけど、そろそろ結婚も考えようか?」

今まで、私との結婚は考えていないと言っていた人だった。

それでも私は、その一言に舞い上がった。

長かったけれど、最後には結婚できる。

そう思ってしまった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました