~結婚適齢期の女性に起きた悲劇とそれから~
第五話 別れ
息ができない。
殺される。
そう思ったのに、あまりに突然のことで身体が動かなかった。
「でも、何で?」
そんなことを考えているうちに、史作の手が離れた。
私はその場に座り込み、咳き込みながら必死に呼吸した。
何が起きたのか理解できない。
史作は乱暴に扉を開け、部屋を出ていった。
鏡を見ると、首にはまるでロープでも掛けられたような痕が残っていた。
この姿では仕事にも行けない。
どう説明すればいいのか。本当のことを言えば、これはもう恋人同士の喧嘩ではない。
幸い、痕は二日ほどでほとんど消えた。
その間、史作から連絡はなかった。
寂しいとは思わなかった。
むしろ、突然戻ってくるのではないかという恐怖の方が強かった。
同時に、毎日目の前のことに怯えなくていい時間に、少しホッとしている自分もいた。
このままでは、いつか本当に殺されるかもしれない。
ようやく私は、別れを決意した。
でも、長く続いた関係は「別れる」と言っただけでは終わらなかった。



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