~結婚適齢期の女性に起きた悲劇とそれから~
第十話 未来へ…
史作から結婚の言葉を聞いた私は、完全に舞い上がっていた。
友人や職場の人にも、プロポーズされたと話した。
けれど、半年経っても何も進まなかった。
指輪のために貯金しているのかもしれない。
そんな都合のいい想像までしていた。
そして私の誕生日。
史作は有名店へ連れて行くと言った。
ところが予約をしていなかった。
一軒目は満席。次も駄目。ようやく入れる店が見つかっても長時間待ちだった。
史作はどんどん不機嫌になった。
「私の誕生日なんだから、機嫌直してよ」
返ってきたのは、「お前の誕生日のせいでイライラしてるんだろうが」という言葉だった。
食事が始まり、少し機嫌が戻ったように見えた時、私はずっと気になっていたことを聞いた。
半年前に言った「結婚しよう」は、どうなっているのか。
史作は言った。
「信じてたの? あれは冗談で言っただけだ」
言葉も涙も出なかった。
八年。
二十代半ばから三十代へ向かう、私にとって大切な時間だった。
八年もの月日を使って、私は何をしていたのだろう。
その瞬間、ようやく分かった。
この人は、夢を見る相手ではない。
私はすぐに住める部屋を探し、最低限の家具家電だけを持って同棲していた家を出た。
お金に余裕はなかった。
それでも、このままでは私の人生そのものが終わってしまう気がした。
今度こそ前を向く。
そう決めた。



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